気管支喘息


<気管支喘息とは>

喘息を発症されている方の大半は

都市部で生活をされていてる方が多く

小児の90%、成人の60%が

アトピー素因を持っているアレルギー症状の1つです

 

 

統計的には成人の方はここ30年間で

患者数は3倍にも増えています

 

 

中高年になってから初めて発症する

「大人喘息」のケースも増えてきています

 

 


西洋医学における気管支喘息の考え方


喘息は

アレルギー性気管支炎とも呼ばれています

 

 

喘息の方の気道は

喘息の症状が全く出ていない状態でも

常に炎症を起こしている状態です

 

 

健康な人と比べて気道が狭くなっていて

空気の通りも悪くなっています

 

 

気道が常に炎症を起こしていると

外からの何らかの刺激に対して

気道の粘膜が過敏になっています

 

 

そのため健康な方では反応しない

ほこり、タバコの煙、過度なストレス

などの外因・内因の刺激でも反応してしまいます

 

 

反応してしまうと

気管支を取り巻いている平滑筋という筋肉が

痙攣を起こしたり、収縮したり、気道の粘膜がむくみ、分泌物が増加します

 

 

そうなると気道の内腔が一過性に狭くなることで

・発作性の呼吸困難

・喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューといった異常な呼吸音)

・息切れ、咳、痰

などの症状を引き起こします
 


喘息発作は通常は一過性のものなので

軽い症状なら気管支拡張薬の吸入や

自然に収まることもあります

 

 

症状が重い場合は何日も呼吸困難が続きます

 

 

喘息発作は前兆なく突然起こりますが

発作と発作との間には症状がほとんどありません

 

 

慢性の喘息の方は

気道に常に炎症が起こっているために

気道が肥厚してしまい

内腔が狭くなってきています

 

 


 


東洋医学における気管支喘息の考え方


<東洋医学的な考え方>
喘息の場合

最終的には五臓のうちの

「肺の蔵」の異常によって発作が生じます

 

 

この「肺」の異常が

皮膚に症状が出ればアトピー性皮膚炎

呼吸器自体に出れば気管支喘息

になります
 


喘息の体質的な原因の1つとして

体内に痰飲があります

 

この痰飲は

本来身体を潤す水分が濁ってしまい

体内に停滞することで

様々な症状を引き起こす原因になるものです

 

 

痰飲が生じやすい方は

 ・気候・気温の変化(特に梅雨時期)

 ・過度の精神的なストレス

 ・疲労

などで喘息発作を起こしやすくなります

 

 

痰飲は五臓のうちの

「肺」「脾」「腎」の作用が低下して

水分の代謝が悪くなってしまうと生じます

 


 
脾の運化作用
運化作用の「運」は運送、

「化」は消化吸収の意味です

 

 

胃で飲食物を消化することで

栄養素を吸収して

その栄養を全身に運ぶのが

「脾の運化作用」です

 

 

水分について

脾は飲食物から水分を吸収して

津液として全身に運送するように

働いています

 


 
肺の宣発・粛降作用
宣発作用の「宣発」は

宣布・発散の意味です

 

 

この作用は呼吸の「呼」にあたります

 

 

肺は体内の汚れた気・水・栄養素などを

皮膚や気道に散布します

 

 

汚れた気は呼吸で排泄され

水は皮膚を潤したり

衛気によって汗に気化されて排泄されます

 


粛降作用の「粛」は粛清、

「降」は下降の意味です

 

 

この作用は呼吸の「吸」にあたります

 

肺の粛降作用は

自然界の精気を肺に取り込むことで

肺中の異物を取り除いて

清潔な状態を維持しながら

気や栄養素、水を下に輸送します

 


 
腎の気化作用
五臓の「腎」には

体内で利用された水が運ばれてきます

 

 

腎は運ばれてきた水をろ過して

再利用出来る部分を再吸収し

不必要な部分は

膀胱に運び尿として排泄します

 


 
寒証
寒証その①:風寒
風邪の症状のきっかけになることが多いです

 

 

風寒邪は身体の外を守っている衛気を障害し

体内に侵入すると痰飲と結びつくことで

気の流れを阻害して肺の働きに支障をきたし

喘息を起こします

 

 

【症状】
 ・悪寒(背中がゾクゾクとした寒気

     を感じる)
 ・肩こり
 ・頭痛
 ・水様性の鼻水が出る
 ・喉が腫れて声はかすれるが痛みはない
 ・たまった咳が一度に大きく出る

 

 


 寒証その②:陽虚
気の温煦作用(臓を温める作用)

が低下することで

臓の機能も低下する状態

 


陽虚による喘息は

五臓の「心腎」への温煦作用が低下して

「肺」に影響することで症状が現われます

 

 

心は冷え過ぎないように腎を温め

腎は温かくなり過ぎないように

心を冷やすことで

協調して体温調整に関与しています

 

 

 ・冷たい物の過剰摂取

 ・慢性の心疾患

 ・陽気が不足している

 

 

このような状況で寒冷を受けると

心腎のバランスが崩れ

喘息の症状を発症します

 

 

【症状】
 ・足がむくんで腫れる
 ・寒気がして手足が凍るように冷たい
 ・動くと呼吸困難がひどくなる
 ・頻尿または尿が出ない、排尿困難
 ・明け方に腸がグルグル鳴って下痢をする

 

 


熱証(痰熱)
  ・こってりしたものや、甘い物

  味の濃い物をよく食べる

 ・過度の飲酒

 ・過度のストレス

を受ける生活を送っていると体内に痰濁が作られます

 

 

痰濁には粘滞性があるために

気の流れが悪くなります

 

 

その痰濁に風熱(ウイルス感染で体温が上昇する)が加わると

熱の炎上性の影響を受けて

通常なら下に降りる肺気が下降出来ずに

逆に上に上がってしまうために

息がしにくくなり喘息を引き起こします

 

 

【症状】
 ・痰は黄色で粘張性がありからむ
 ・呼吸のたびに痰の荒い音がする
 ・喉が渇き冷たい物を飲みたがる
 ・顔色は赤い
 ・不眠、イライラしやすい

 



気虚証
「気」は

生命活動をおこなう上でのエネルギーになり

目で見ることはできませんが

生体内を巡っています

 

 

気虚はその気が生体内の中での量が不足して

働きが低下した状態です

 

 

【症状としては】
 ・疲れやすい
 ・気力がない
 ・身体がだるい
 ・食欲がない
 ・むくみやすい

 


気虚証は

その中でも気は大きく分けて3つあります

 

 


気虚証その①:腎気虚証
慢性病により生じた腎気の不足が

肺に及び呼吸困難を起こす

 

 

肺気虚から腎におよび

納気作用が低下し

腎虚性の呼吸困難をおこします

 

 

【症状】
 ・呼気よりも吸気困難がある
 ・呼吸が浅い
 ・足腰のだるさ
 ・耳鳴り
 ・夜間のトイレ

 

 


 気虚証その②:脾気虚証
「脾」の弱りにより痰飲が生成され

これが肺に溜まって痰の多い咳を引き起こす

 

【症状】
 ・食欲がない
 ・四肢のだるさ
 ・食後の倦怠感

  食後に喘息発作が強くなる
 ・痰の量が多い
 ・軟便
 

 


気虚証:その③肺気虚証
長期の肺疾患により肺気が不足して

宣発・粛降機能が失調したために

呼吸困難をおこす

 

 

【症状】
 ・声に力がなく小さい
 ・風邪をひきやすい
 ・顔色が白い
 ・言葉数が少ない
 ・呼吸に力がない